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看護実習指導者の役割

 実習指導者のなかには、自分の役割がよくわからないと感じる人が結構います。実習指導者の役割について明確な定義のある公文書を、私にはみつけられなかった。だから今日は手元にある文献と教員経験から悩める実習指導者に役立ちそうなことを書いてみる。でも実習指導者は、厚生労働省か都道府県主催の約 240 時間の実習指導者講習会を修了した人が担う役割なので、修了者はぜひ資料を見直してほしいし、これから講習会に行く方はぜひとも講師に「実習指導者の役割とはズバリ何ですか?」と聞いてみてほしい。なぜなら私はその講習会に出たことがなく、ちょっとe-reaningでものぞいてみようかな~と気軽に看護協会のHPをみたら、59,000円もする特別な人しか行けない研修だったから(笑)!高いのね。

目次

実習指導者に期待されている役割

 実習指導者は、学生に臨床での実践的な教育をする役割があります。教育の中身を大きく2つに分けると、学生に直接教えることと、学習環境を整備することです。どんな分類の仕方が正しいかはさておき、明日から役立ちそうな情報を提供してみますね。

学生に直接教える

何をどこまで教えるかは、学生の実習要綱に書いてある実習目標(各領域別の目標)によります。今日はバクーっと大きく書きます。

患者に合わせた看護を教える

 教員との違いはズバリ「臨床にいる」こと。学生は基本を学習ずみなので、最初は看護計画を基本知識で立ててきますので、指導者には「受け持ち患者さん用」の看護を指導してほしいです。疾患別の留意点に加えて、今までの経過を踏まえた留意点も指導してほしいです。

例えば心不全の場合、学生は「心不全の看護計画」を立てがちです。そこに個別性を入れるということが、まだ完璧にはできません。

心不全Aさんは、今回初めて心不全と診断されたから、まず「心不全とは」から患者教育が必要になりますね

心不全Bさんは、心不全の増悪を繰り返していて今回も急性増悪で入院した人だから、自宅での自己管理状況や、なぜいつも繰り返してしまうのかなどの情報収集も必要だわ。退院後の生活習慣を改善するための行動変容が難しそう…。

心不全Cさんは終末期に近い患者さんだから、緩和ケアのウェイトが大きいわね。今まで十年近く一生懸命自己管理してこられた経緯も踏まえて看護してほしいわ。

同じ心不全の患者さんでも全然違いますよね。看護師は患者さんの個別性を把握していて、性格や生活習慣、サポートシステムも知っています。その情報を使って患者さん用にどんな看護の工夫をしているのか、それを学生にも教えて実践をサポートしてもらえると、学生の学びが深まります。

どこまで疾患の説明をするのか、どこまで工夫を説明するのか、それは学生の学年と能力により加減するので、別記事で!

臨床での現実を教える

 時々、学生が「学校でならったやり方と違う」と言って指導者が困惑します。よくあるのは、陰部洗浄や足浴でお湯の温度を測りたいけど、臨床看護師は誰も測っていないというものです。臨床でしていないことは、していない理由があるのです。みんな自分でお湯を出したときに必ずお湯を手で触って適温か確認しています。熱めに作って冷水をピッチャーで持っていく人もいます。

大切なポイントは何℃かじゃなく患者が火傷しない温度、快適な温度のお湯を使うことなので、そこをクリアできれば方法は1つではない、それが現実です。私たちもお風呂に入るとき温度計でお湯をはからないですもんね。

指導者さんには、教科書に書いてあることと違う場合、臨床でそれをしている理由を教えてもらったらいいですと私は伝えています。そんなことはいっぱいあるし、それは基礎看護の臨床応用編だからです。

学習環境を整える

上げたらきりがないですが主なものは

  • 実習目標を達成できそうな対象患者さんの選定
  • 実習が円滑に進む実習指導体制をとる(受け持ち看護師につくのか、指導者自ら学生全員を受け持つのかなど)
  • スタッフと学生との関係調整(報告しにくい、指導がわかりにくいなどがないか確認)
  • 看護計画が実施できるような時間調整
  • 学生の学習のハード面の環境調整(記録場所、使用する電子カルテ、荷物置き場など)

環境が整っていないと、居場所がなかったり時間の使い方がわからなくて学生がうろうろしたり、実習記録置き場がなくて紛失につながったりなど、意外と実習が円滑に進まない原因になります。教員と事前に相談して環境を整えることもコツです。

実習指導者と教員の役割の違い

 これが曖昧になることが多くて悩ましいようですね。私は、実習指導者は臨床看護実践を教える、教員は学生の実習全体の調整を行う、という理解です。教えるのはあくまで指導者、指導者の助言がわからなければ、わかるように教員が補足説明したり調整します。この違いは、学校が配布する実習要綱に明記されていることが多いです。わからなければ、実習の事前打ち合わせの時に確認してください。これについては、別記事で詳しく書こうと思います。

 この記事をかいて実感しました。実習指導者の「仕事内容」はすぐみつかるけど、「役割」はみつからない。実習指導者と教員の「動きの違い」はすぐみつかるけど、「役割の違い」はわかりにくい。執念深く調べたわけではないけれど、厚生労働省や看護協会などでわかりやすく明記されていないんだなと、だからみんなの検索ワードにあがってくるんだなと。もっと手軽に手に入れたい情報ですね。


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