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看護師が転職するときの病院の選び方

看護師が病院へ転職するときの病院選びの基準について検討してみたいと思います。

目次

看護師の転職先の現実

 看護師の転職で一番大切なことは、自分のニーズと職場のマッチングです。看護師は他の業種に比べて働く場所や働き方が多彩であるため、自分のニーズと優先順位を明確にすることでマッチングの確率を上げることができます。自己分析のときに以下の2点をよく検討してみてください。

病院以外の転職先も検討すべき理由

 病院は潰れないから安心だというのは神話です。実際私は務め先が急に給料支払い遅延を起こし、職員のボーナス支払いが3か月遅れたことがあります。そして大量に退職者が出ました。組織が大きいことは良い職場の絶対条件ではありません。
 なぜ自分は訪問看護や高齢者施設ではなく病院で働きたいのかを明確にして転職先を選びましょう。病院で働きたい理由、そのメリットとデメリットは何か、ここで自己分析をしっかりしておけば履歴書も面接も困ることはありません。組織に守ってもらう時代は終わりました、自分で組織を選び、組織から得られる利益を十分活用して将来のキャリアに変えていけるようにしましょう。

急性期病院から地域の病院へ転職するときの留意点

 大学病院や**センターなど大きな急性期病院でしか働いたことのない人は、地域の病院で働くときに留意点があります。急性期病院は治療が使命ですから、医師の数も医療機器も資材も潤沢にあります。地域にでるとそれはガラッと変わります。病院によって違いは様々ですし、それはルールに反している!とか色々ご意見あると思いますが、現実を知っておくことは大切なので想像できるように急性期病院と地域の病院の違い体験を書いておきます。(関西限定だったらごめんなさい)

診療援助技術能力の高さが求められる

 大学病院で若手医師がしていたことは全部看護師の仕事になると思っても間違いではありません。

地域の病院は常勤医も少ないし、研修医もほとんどいないよ

私は集中治療室出身でAライン採血が多かったし、留置針はオペ前に病棟ナースが入れてくれるから、転職先で技術が下手すぎて凹みました 泣

先輩たちは採血はもちろん、血管確保(サーフロー挿入)、経鼻Mチューブ挿入、バルーン挿入など一発で入れます。今でこそ少なくなりましたが、それでもどこかで、男性用のバルーンカテーテルを看護師が入れているかもしれません。胃管はレントゲン取ってから!が絶対ではない病院もまだあるかもしれないです。だからこそ、基本に立ち返り、解剖生理学と看護技術の再確認が必要になります。

医療機器や資材が違う

 急性期病院では使わないような医療資材も結構な頻度で使いますので、初めて使うものの使い方をしっかり確認が必要です。

タコ管付き輸液セットや開放型三方活栓も使うし、シリンジ採血もするよ

急性期病院は事故防止策としてなんでもクローズドシステムが採用されていますから、開放型の物品を使用したことがなければ出血の事故を誘発しますので、今までと違うものは必ず使い方を確認です。採血も真空管採血ではなくシリンジ採血であれば、真空管任せだった脳みそを蘇らせて、何は何cc取らないといけない、合計何cc採血しないといけない!とわかっていなければいけません。足りないからまた採血させてくださいということになってしまいます。

自分で計算することが増える

 輸液ポンプを使う病状の方は少なくなりますので、点滴は計算して手調節で滴下することに慣れないといけません。また看護師による薬剤セットの量が多くなりますので、変更に合わせて薬剤の差し替えや抜きとりなど過不足調整が行われたり、内服自己管理の患者さんが増えるので、時々残薬を見せてもらって1ヶ月分の大量の薬の残薬数があっているのか計算して確認することもあります。これまた先輩たちのスピードの速さに驚いたことを今も覚えています。私は今もこれが苦手です。落下薬がみつかれば拡大して見て錠剤のマークと番号を調べて何が飲めてないのか確認することも結構ありました。

転倒転落の頻度は上がる

 病状が安定し、施設や自宅に戻っていく一歩手前の患者さんや、自宅と地域の病院を往来している方ばかりですから、抑制を最小限にしていますし、もちろん看護体制も10:1、13:1などになってきますので見守れる人も少ないです。残念ながら自立していく過程で転倒転落はゼロにはできません。

転倒理由のアセスメントを強化し、手すり代わりになるように椅子を置いて環境調整したり、ベッドからの起き上がり動作の練習強化したり、床を這う練習をすることもあるよ

ですから、地域の病院に転職したときに、急性期病院であれほどまでにセンサーマットで保護されていたのに、翌日転院したらこの状況か…、そりゃこけるわと思いました。

急性期病院で「転倒させないこと」に注目しすぎて「もっと自分で歩く、こけそうになったときの対処方法をみにつける」という継続看護の視点が弱すぎたなと反省しました。

看護水準が一律ではない

 大学病院などの大きな組織は、定期的に研修会や勉強会があり、看護や医療の最新情報が提供されています。時間内でも時間外でも面倒くさがられる勉強会ですが、地域の中規模病院では手厚く研修を受ける機会が減ります。そういう時期が長くなると、大きな病院から転職してきた人との知識に差が生まれます。
 例えば、私の転職先ではインシデントレポートはどの職種が起こしても看護師が書くし(謎)、関わったスタッフ全員の実名が書かれて周知されていました。インシデントレポートの根本から認識が違って驚きでした。他にも、深夜入りで出勤したら、日勤の先輩が「時間あったから夜のお薬準備しといたよ~」と言ってくれました。見ると、経管栄養の患者さん5人分の夜の内服をお湯でとかして全部各患者さんのカテーテルチップに入れて1つのトレイに入れてあり、なぜか薬袋は捨てられていました。そのカテーテルチップの中に何の薬が入っているのか、本当にそれを確実に各患者さんのカテーテルチップに入れたのかもわかりません。私にとってはありえないことでしたが、病棟では日常的だったのです。医療安全の研修を定期的に受けていないと昔からしていたことが続くので怖いですね。誰も悪気はないので、アンテナを張っていなければ明日は我が身です。このように看護水準が一定でないことが起こりえますので、互いに情報共有してアップデートすることも求められます。

転職先の病院を選ぶ条件

 自分にとって病院に転職するメリットがある方は、自分が働くときに重視する条件をピックアップして優先順位をつけてください。よく重視される条件をみていきます。

給料

 給料は経験年数や今までの実績で交渉可能です。少なくとも私の場合はそうでした。だからこそ、適当に転職せずに、自分の看護師としてのキャリアを他の人にPRできるように計画的に転職することをお勧めします。私は最初の病院が有名な病院だったこともあり、2番目の病院は年収100万くらいあがった気がします。交渉するときは必ず年収で交渉しましょう、毎月の給料で交渉してボーナスゼロだったら悲しいですよね?笑

休暇日数

 提示されている休暇日数だけではなく、実際にそれを使える環境かどうかを確認しましょう。昨年度実績や、夏休み・冬休みなどは平均何日くらいとっているのか、子どもがいる人はどのように急な遅刻早退に対応しているのか、時間休はあるのか、半日単位の休暇なのかなどは、介護や育児をする人にとっては大切なポイントです。

残業

 残業も私は昨年度実績を聞いています。仕事上仕方ないことですが、保育園にお迎えがあったり、訪問看護をたのんでいる人などは、それらの人が実際どのように働いているのかを聞いておくほうがいいです。また自分はどのような状態であれば残業できるのか、どこまでが許容範囲なのかも相談しておくと配属先を考慮してもらえるかもしれません。

教育制度

 大学病院などは看護師2人1組で動くことも多いですが、地域は看護師配置が少ないので全部ひとりで患者受け持ちすることが多いです。不安な方は確認したほうがいいかもしれません。また看護師として新しいスキルアップをする機会があるかどうかは確認が必要です。のんびりしたい反面、もし転職先でスキルアップできなかった場合、次の転職が不利になるかもしれないからです。

人間関係

 転職エージェントさんに聞くのも一つの手ですし、各サイトで公開されている情報を見るのも一つです。複数の口コミサイトを見ましたが、どの病院のこともそれなりに正直なコメントが書いてある印象です。でも人間関係は変わります。人は動くので、あなたが入ることによって良くも悪くもなる可能性だってあります。だから人間関係だけではなく、他の人が何を基準に病院を選んでいるのかを知るのもいいかもしれません。簡単に各病院の口コミを見れたサイトがあったのでリンクを貼っておきます。
HATARAKI NURSE https://hataraki-nurse.com/

私は、事情があって職場を変えたいのなら同じ場所で働き続けなくてもいいと思っています。でも自分に合う職場や働き方を見つけて、ずっと看護師として活躍していただけたら嬉しいなと思っています。良い職場に巡り合えますように。

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