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保育園の看護師の仕事

目次

保育園の環境

 通常の保育園では健康な乳幼児を預かりますが、病児保育、医療的ケア児を受け入れている保育園もあります。通常病児保育等の特別な保育をする場合は、専用スペースが設けられていなければなりません。もちろん場所がなくても緊急対応するときもありますが、日常的に病児保育をする業務であれば、職場が国の定める基準に沿っているかどうかは確認しましょう。

園児の年齢層

  • 0歳(生後57日以降)から小学校就学前(6歳)まで
  • 年齢に応じて以下のようにクラスが分かれています
  • 0歳児クラス(生後57日~1歳未満)
  • 1歳児クラス(1歳~2歳未満)
  • 2歳児クラス(2歳~3歳未満)
  • 3歳児クラス(3歳~4歳未満)
  • 4歳児クラス(4歳~5歳未満)
  • 5歳児クラス(5歳~6歳未満)
  • 異年齢保育(3~5歳児など異なる年齢の児をグループに分けてクラスを作る)をするところもあります

よくあるのが、0歳児は「ひよこ」1歳児は「あひる」とかクラスに名前がついていて、それを覚えるのがまず大変(笑)0歳とか1歳ではなく、「*歳児」なので、よく呼び方を直されてました!

3月4月は特に「慣らし保育」が多くて、児も保護者も不安が強いので、4月入職する看護師はワチャワチャ環境に入っていくことをお忘れなく

病児保育

 病児保育とは、病気や怪我などで通常の保育施設や学校に通うことができない児童を一時的に預かる保育サービスです。

  • 施設基準:病児保育専用の部屋が必要で、適切な換気や衛生管理が求められます
  • スタッフ配置:通常、病児保育室1室につき1名の看護師配置が多いです
  • 保育内容:病状に応じた適切な保育を行い、医師の指示に従って対応することが求められます

医療的ケア児

 医療的ケア児とは、慢性の病気や障害を持ち、日常的に医療的なケアを必要とする児です。具体的には、吸引(痰の吸引)、経管栄養(胃ろう・経鼻胃管)、酸素療法などが含まれます。

成人ではないので児の年齢に合わせた医療の知識や技能が必要です。

  • 施設基準:適切な医療機器が設置されていること、清潔で安全な環境が整えられていること
  • スタッフ配置:看護師や医療的ケアを提供できる資格を持ったスタッフが必要です。一定数の医療的ケアの経験を有することが望ましいとされ、通常は少なくとも1名の常勤看護師が必要です
  • 保育内容:個別のケアプランを策定し、医師の指示に基づいてケアを実施することが必要です。また、緊急時の対応計画を作成し、訓練を実施することが求められます

保護者の事情

  • 保育園に預ける事情は家庭によりさまざまです
  • 保護者の日帰り出張が多く、両親が離れた都道府県で働いている場合があったり、保護者が難病の時もあり、「緊急時」にすぐかけつけられない場合があるので、緊急時の対処方法は確認が必要です
  • 児の体調不良時の連絡も、個人携帯にかけてほしい人、会社の窓口にかけてほしい人などがいます。なぜなら職場の事情により、子どもの体調不良で早退することをよく思わない場合があったり、あえて窓口に連絡することで理解を示してもらいやすかったり、事情が様々だからです
  • 祖父母が迎えに来るときも、祖父母宅へ返したくない事情がある保護者もいますので、「いつものお迎え」は誰なのか確認が必要です

病院とはここが圧倒的に違うので、保護者の社会人としての事情も踏まえながら、自宅で児がどのように過ごしているか、保育園で健康に過ごせているのかも考えていました。

保育士の事情

  • 当たり前ですが、おもちゃの選び方から外遊びまで、児の年齢と個別の発育発達状況を考慮して保育しているのをみるとさすがプロ!と尊敬しかありません
  • 外傷や脱臼、熱中症など健康な児に起こる日常的なハプニングには対応できます。むしろ慣れない看護師より上手です。
  • 医学的知識はないので、ハプニングが起きた後の詳細な対処はできません。例えばよく起きる肘内障でも、「脱臼(肘内障)したらどこを固定して病院にいくといいのか」「肘内障のあとはどのくらいの期間どのようにすごすのがいいのか」などは経験則で対応できる人もいますが知らないことが多いので保護者に生活指導することはできません。
  • 児がケガや脱臼したりすると自分を責めがち
  • 日焼けも手荒れもしやすいです

保育園の看護師の仕事

通常業務

健康管理

  • 毎日ラウンドしながら児の健康状態を把握し、健康管理を行います。
  • 定期的な健康診断や発育測定(身長・体重測定)を実施し、結果を記録・管理します。
  • 病気の予防接種や健康診断のスケジュール管理、保護者への連絡・説明を行います。

応急処置

  • 怪我や急病の際の応急処置を行います。
  • 傷の手当てや薬の投与など、必要な医療処置を適切に行います。
  • 保育園に常備薬がある場合、必要性や安全性を連携薬剤師と検討します
  • (擦り傷にゲンタシン軟膏を日常的に塗布していたケースもあって、驚いて中止したよ)
  • AEDの定期点検を行います

感染対策

  • 保育園内での環境整備を行い感染拡大防止策を講じます。(消毒薬の設置・交換・換気など)
  • 手洗い指導や環境消毒の指導を行います。
  • 感染症が発生した場合は迅速に対応し、保護者や保育士に適切な情報を提供します。
  • ロタ、ノロ、アデノウィルスなどよく流行する感染症の対応はスタッフ全員に周知します。

乳幼児に流行する新興感染症がある場合、保育園から市町村や保健所に報告しないと感染症拡大の兆しを早期にキャッチできない場合があるよね。保健師資格がなくても、保育園で働くときは公衆衛生の視点が必要だなと思います。

健康教育

  • 児や保護者、保育士に対して健康教育を行います。
  • うがいや手洗いの重要性、正しい歯磨き方法、トイレのマナーなどを指導します。
  • 擦り傷などケガした時の初期対応を指導します。(石鹸でよく洗う、ができない)

医療的ケア

  • 医療的ケア児に対して、必要な医療行為を行います。(吸引や経管栄養、酸素療法など)
  • 持病の定期内服がある場合、与薬します。
  • 保育中の体調不良やケガがあれば保護者了解のもと病院受診し、医師の指示をうけて保護者到着まで看護します。

保護者との連携

  • ケガや体調不良があった場合は保護者に報告し、自宅での生活方法について説明します。
  • 特に食物などのアナフィラキシーショック時の対処方法は共有し、エピペンを預かるなどの対策を講じます。
  • レスキューの内服薬など預かり薬の期限が切れていないか確認し、必要時受診を促します。
  • レスキュー薬は児の成長(体重増加)に合わせた分量が処方されているか確認し、必要時受診を促します。

何もなければ受診しないので、成長に合わせたレスキュー薬をもっていないこともあるし、中止してもいいかの判断もできていないので、看護師が定期的に確認して受診を促すお便りを出すことも必要だね

保育士との連携

  • 遠足や運動会などイベントに看護師が同行することもあります
  • 保育士と児の健康に関する情報共有をします
  • 児のケガや脱臼などについて医学的視点からアドバイスします(私見)
  • 保育士が日常的に使用する物品に健康被害をもたらすものがないか確認する(私見):児に接触する保育士の健康は児の健康を守ることにつながります。予算にもよりますが0歳児の部屋の手洗い石鹸は弱酸性のいいものを置いたり工夫していました。

例えば成長過程の幼児は解剖的に肘内障を起こしやすいから、ぶら下がり棒など普通の遊びで肘の亜脱臼がよく起こります。そんなとき保育士は自分を責めがちです。ですから過度に自責の念を抱かず安心してもらうためにも、朝礼や夕礼で保育士のみんなに幼児の解剖学的な特徴を説明して、いつも事故に注意して保育してくれてることに感謝を伝えたこともあったよ。


保育園での必須スキル

  • 乳幼児のCPR知識、AEDの知識
  • 乳幼児の禁忌行為の知識(摘便・浣腸などを保護者や保育士が定期的に行っており看護師に依頼することがあります)
  • アナフィラキシーショック、痙攣発作への対応
  • 熱中症や光化学スモッグへの対応
  • 多職種連携(保育士だけでなく清掃や警備、ボランティアなど、一緒に児の健康と安全を守るスタッフ全てと連携します)

保育士を含め一般人は、病気のある子が急変したら怖いと思っている。でも病気のある子はレスキュー薬があったりペースメーカー入れてたり救命準備ができていることが多いよ。それより健康な児の急変に備えられるのは看護師だけだから、私はそれが寒すぎた…。


病院との違い

  • 常駐医師も相談できる看護師もおらず、医療職は自分一人の時が多い
  • 持病や障害の情報が必ずしも正確に共有されているとは限らない
  • 保育園でできる緊急の医療処置は限られているので、救急車を呼ぶ、保護者了解で受診する、保護者をまつかなどの緊急時対応方法の選択を見誤らないようにしなければならない
  • 特に0歳児保育は、看護師が保育士1名としてカウントされるほど期待されている=知識が必要

 小児看護や子育て経験のない人にとっては、健康な児であっても0歳から5歳児までの幅広い児の正常と異常の判断が難しいかもしれませんので、事前の知識確認をお勧めします。小児看護が未経験の方はちょっと怖いなと思うかもしれないけれど、想像通りめちゃくちゃ癒し空間であることは確かです。実際のエピソードは別記事で!

出典

  • 厚生労働省「保育所における保育の実施に関する指針」
  • 厚生労働省「病児保育の実施に関するガイドライン」
  • 厚生労働省「医療的ケア児に関するガイドライン」
  • 厚生労働省 「保育所における看護師等の配置基準に関するガイドライン」
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