看護師の勉強会や院内研修のスライドをできるだけ時短で作成するコツを紹介します。時間のない看護師がスライド作成を時短するコツはズバリ、スライド枚数を減らして口頭説明を増やすことです。今日は勉強会や研修などをすべて「講義」と言い換えて、スライド枚数を減らす工夫を説明していきます。
スライドの種類を使い分ける
スライドには大きく2種類あり、種類を適切に使い分けて余分なスライドを削減すればスライド作成はかなり時短できます。看護師の勉強会や研修の参加者は自分で学べる人たちなので、ほとんどの場合スライドは配るためにあるのではなく、理解を助けるためにあります。書籍や公的機関のURLなど信頼できる出典元がすでにあるようでしたら、あなたが時間をかけて完璧な配布資料を作る代わりに既存資料をご覧いただくのも一案です。自分は何を話し、参加者に何を自己学習してもらうのかを考えながら必要最低限のスライド枚数にしてみてください。
スティーブジョブス型
- 見せることに重点を置き、文字は少なく図表が多いスライド
- 欧米はジョブス型スライドが多いと言われている
- 参加者がスライドを持ち帰って見直す習慣が少なく、手元に資料が残らないためジョブス型が多いらしい
- 文字が少ないため当日のプレゼンスキルは非常に重要
例えばこれはジョブス型にしてはかなり文字の多いスライドですが、訪問看護師向けにマーケティングの話をしたときに使った1枚で、詳細は口頭で説明しました。これだと1枚1~2分で作れるため、スライド作成時間はかなり時短できます。
看護師業界で使えそうな場面
- 病棟看護師向け勉強会(気の知れた身内勉強会)
- 参加者の能力が一定である研修会(CNS向け・副師長向け・5年目以上Ns向けなど)
- 理論ではなく技術や演習などの講義
時短作成と枚数削減のコツ
- 文章は数字データ・写真・動画に置き換えて文字数を減らす
- 配布資料に出典(書籍名やURL等)を書くと参加者は自分で元情報にアクセスして勉強するので余分なスライドが減る
- 私は看護師3年目に病棟で褥瘡勉強会をしたとき1スライドに題名と写真しか載せませんでしたが病棟の褥瘡ケアは向上しました。基礎知識のある内容であれば、看護師たちはスライドに文章説明がなくても理解できますし、文章朗読が続くと睡魔に襲われます
スライド作成の注意点
- 図表やイラストのテイスト(「上品」「ポップで元気なイメージ」など)は全スライドで統一する
- 言いたいことは1スライドにつき1つ、1スライド1分説明が目安
- 図表や写真が主なので、病院ロゴやイメージキャラクターなど内容と関係ないアイコンは入れないほうが無難
- 図表や写真が映えるように背景色は白やベージュが作成しやすい
- 「見たイメージ」がそのまま理解につながるので写真やイラストを講義内容に合うよう厳選する
講義型
- 読むことに重点を置き、1枚の文字数と情報量が多いスライド
- 日本の企業や授業スライドでよく見かけるタイプ
- 参加者がスライドを持ち帰って見直す習慣があり、最低限の情報を記す必要があるため講義型が多いらしい
例えばこれはよくある学校授業のスライドです。教科書内容に臨床の実際もプラスしてまとめてあるので文字数が非常に多くなります。また、「教育指導」や「支援」とは具体的に何をするのか口頭説明もするので、1枚のスライドでたくさんの情報を提供することになります。私はこの手法は効果的ではないと感じていて嫌いですが、いまだに良い方法をあみだせず模索中です(笑)。教科書は十分まとまっているので次から教科書の目次だけスライドに映そうかしらと思うこともある。
看護師業界で使えそうな場面
- 学生向けの講義
- 新人看護師向けの講義
- 講義内容について初心者からベテランまで幅広い層が参加する勉強会
時短作成と枚数削減のコツ
- 文章は箇条書きにまとめ、詳細は口頭説明する
- 全てをスライドに手入力せず、引用文献の貼り付けや既存資料を印刷配布するとスライド作成時間が時短
- 「スライドをご参照ください」と言って3秒で次のスライドに進むくらいなら、そのスライドは作成不要
- 参考文献リストを作り詳細の自己学習を促すことで+αの説明スライドが減る
スライド作成の注意点
- 参加者が講義内容について基礎知識がない場合、言葉の定義から文章にし「読む・見る」ことで理解を促すほうが親切であるため、講義型スライドになるのは仕方ない
- 参加者はスライドを「読む」ので、講師も口頭説明するときはスライドと同じ表現を使うか一緒に読む必要がある
- 1枚のスライドに情報を詰め込まず、情報を分割する
- 長い講義の場合、話題が変わるときに参加者の頭も切り替わるような工夫が必要
- 頭の切り替えには、目次の再提示・写真入りの目次を提示・色の違う表題の提示などやり方を工夫する
ジョブス型と講義型のMix
参加者の特性・内容・所要時間などによりMix型が良い時もあります。特に管理職やCNSで市民公開講座などをするときには、Mix型が必要になると思います。
講義構成を考えてからスライドを作る
何をどの順番で話すかを考えながらスライドを作ることは時間の無駄使いです。講義の流れを考えてからスライドを作り始めましょう。講義には序論→本論→結論の順番や、PREP法、DESC法など話の進め方のひな形がいくつかあります。私はいつも基本スタイルを決めていて、勉強会や講義の目的・対象者の特性・所要時間などによってアレンジしています。
- 表紙は今日の講義のタイトル
- タイトルは今日の内容が一目でわかるものにする
- キャッチーにすると内容がぼけやすく、講義スキルのハードルが一気に上がるので注意
- 初めて会う学生なら学校の写真、OPE看護なら実際のOPE室写真を使うなど、相手が親近感や関心をもてるように意識して作ることで、最初から講義に対する集中力を高めることができる
- 目的:目標との違いがわからない~!と悩むなら目標だけでOK
- 目標:この講義を聞きおわったら、参加者にどうなってほしいのかを書く
例えばこれは大学生の終末期看護1回目の授業目標です。講義はこの目標を達成できるような内容に組み立てますし、授業の最後で再度このスライドをみせて「目標達成できそうですか?ここに書いてあることを自分の言葉で説明できるように復習してね。テストもこれ出すよ~」と言ってました。
看護師・市民向けの講義は学生とは違いますので、「今日の講義を聞いて、みなさんが**が理解できる(イメージできる)ようになっていただけたら幸いです」などと言いながら目標や目的スライドを示しています。30秒あれば十分ですね。
講義内容の目次を書く
目次にそって内容を書く
コツは、スライドの見出しが「ズバリ言いたいこと!=主張」
- 目次にそって内容を書く
- 話題が変わるときは、話題変わりましたよ!とわかるようにスライドを工夫する
- 特に講義時間が長い時や、お昼直後、夕方の疲れたときの時間は、印象付けの工夫が必要
例えば基礎看護の清潔援助はたくさんの種類があるので、1回の授業で2種類の援助の話をすると学生が混乱します。万一そういう事態になるときは、内容は文字だけにして、話の変わるときにスライドをキャッチーにして工夫することもできます。
最初は清拭の話
ず~っと清拭の話が文字で続いたあと、眠くなってきたら、次は足浴の話です。今から足浴よ!と意識づける。
「話変わったな」と印象付けることができるのもスライドならではの利点です。でも私は声がデカいので実際にこの手法をとったことはなく、声のトーンで切り替えを行っていましたが(笑)。こうして、内容3、4…と進んでいきます。
- 講義全体のまとめを箇条書きで1枚にまとめる
- 目次ごとのスライドの見出しが「ズバリ言いたいこと=主張」になっておれば、結局それが結論として並ぶことになる
書籍名やURLやQRコードを記し、1分間時間を取って「**について詳しいことはここにある」など具体的に強調しましょう。そうすることで、成人学習者は自分で学習します。これがあることで、余分なスライド枚数と口頭説明を省けます。
まとめ:スライド作成時短のコツ
- スライドの種類を使い分けて、ジョブス型で良い講義は文章の多いスライド作成をやめる
- 構成を先に考えてからスライド作成にとりかかる
- スライドと口頭説明で全部解説しようとせず、参考文献で自己学習を促してもOK
- 自分のスライドのひな形を作り、次回から使いまわす
看護師で講義をする人は、現在すでに口頭説明できる知識のある人です。ですから本番は話せます!スライドは読むための原稿ではなく参加者の理解を助けるものですから、大学教員でもスライドは使わずプリントや教科書だけで授業する人もいます。ですから膨大な時間をかけることなく、その素晴らしい知識を「伝えること」に集中してみてください。皆様、スライド作成で徹夜になりませんように、ホント…お疲れ様です。
\ PC苦手さん用 /