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看護師の現実と未来

今後の動向をつかみ戦略的に職場を選ぼう
目次

看護師が転職前に知るべき現状

世界的に看護師不足は深刻です。少子化で新人看護師は減り、看護師も高齢化します。
人手不足なら、あなたが多少若手でも難しい仕事をする可能性があり、あなたが熟練ナースでもAI必須かもしれません。
今後の傾向を知り、将来どこでどんな風に働くか、どんなスキルを身に着けるか、戦略的にキャリアデザインしよう!

就業者数

 看護師資格取得者は毎年約5万人で経過してきました。しかし18歳人口減少に伴い、看護師の専門学校や大学の入学者自体が減ってきています。今でも看護師不足ですが、これからは日本の働く世代が少なくなるので、より少ない人数で看護を担う時代が来ます。ですから賢く工夫して働きましょう!

【看護師数】 令和4年の看護師数: 1,311,687人
【男女別内訳】 男性看護師: 112,164人 (8.6%) 女性看護師: 1,199,523人 (91.4%) ※2

就業人数が多い職場 TOP12

 医療機関勤務が圧倒的に多いです。この表では看護師の転職場所の流れは見えないものの、病院以外の勤務経験者は少ないことが予想されます。医療機関以外で働くときは想像できないことも多いので、仕事内容など事前の情報収集をしたほうがよさそうです。病院と訪問看護ステーションも全然違いますよ。※2

順位就業場所実人員数全体に占める割合
1病院888,858人67.8%
2診療所179,241人13.7%
3介護保険施設等101,161人7.7%
4訪問看護ステーション70,975人5.4%
5社会福祉施設22,825人1.7%
6看護師等学校養成所又は研究機関16,784人1.3%
7その他13,343人1.0%
8市区町村7,962人0.6%
9事業所5,904人0.5%
10保健所3,024人0.2%
11都道府県1,391人0.1%
12助産所219人0.0%

就業看護師 年齢層内訳

 R4年(2022年が最新情報)時点では、20代・40代が多く働いています。 出産年齢があがっているので、子育て&親の介護&仕事という生活をする人の増加が予測されます。そのため今後も臨床に30代が一時的に不在の状態が続くかもしれません。また中堅が一旦最前線を離脱するため、その状態で職場を稼働させること、復職者の再教育をすることが課題になりますので、現場の取り組むことは増えます。将来人員不足はどの業界も同じですから、50~70代の再雇用計画もあり、多様な年代のスタッフ構成で働く職場も出てくるでしょう。自分は人口ピラミッドのどこにいて、近い将来どんな仕事を引き受けることになるか予想し、今から知識・技術を貯金してください。ベッドサイドケアだけが仕事ではありません。※2

年齢層人数割合
25歳未満111,394人8.5%
25~29歳170,522人13.0%
30~34歳140,347人10.7%
35~39歳144,252人11.0%
40~44歳168,684人12.9%
45~49歳183,778人14.0%
50~54歳151,993人11.6%
55~59歳118,035人9.0%
60~64歳74,689人5.7%
65~69歳32,719人2.5%
70~74歳12,182人0.9%
75~79歳2,380人0.2%
80~84歳439人0.03%
85歳以上273人0.02%

年代別の退職理由 

みんな歳を取りますから、自分もあと数年で違うお年頃かも。離職理由も違ってくる可能性があります。
結婚・出産・育児だけでなく、介護や自分の病気など年代に応じた変化を予測してキャリアデザインしたいですね。


令和5年 厚生労働省 「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」p33からの転載です。※1

看護師の転職状況

転職する人はけっこういます。理由はひとそれぞれ、自分に合った働き方で、ずっと看護師でいれたらいいですね。
参照資料は2018年発表資料なので、今調査したらもっと変化している可能性があります。※4

経験施設数と就業期間

  • 最初の職場を退職するのは20代が最も多い
  • 最初の職場での就業期間は、2-10年が6割以上を占める(2年以上5年未満が38%、5年以上10年未満が26%)
  • 転職経験者は約70%、けっこうみんな転職してる
  • 2施設目、3施設目での平均就業期間はそれぞれ3.91年、3.75年
  • 3-5施設の勤務先を経験する人が40%で最も多い

転職先の規模と環境

  • 最初の就職は200床以上の大規模病院が75%(500床以上が44%)
  • 転職時は地域内で、同規模か小規模の病院を選ぶ傾向が強い
  • 中小規模病院から500床以上への転職は1割程度
  • 規模に関わらず、無床診療所への転職は1-2割
  • 訪問看護への転職は最初の転職で1-3%だが、2回目で5%に増加

雇用・勤務形態

  • 最初の就職時は正規雇用が95%
  • 転職する度に正規雇用割合が低下(2施設目73%、3施設目64%)
  • 交代制勤務は最初85%だが、転職する度に減少(2施設目48%、3施設目34%)
  • 月1回程度の夜勤/当直勤務は転職を重ねる度にわずかに増加

転職先でのライフイベントと退職理由から予測される転職傾向

  • 最初の施設退職の主な理由は「他施設への興味」18.3%
  • その他の主な退職理由は結婚、健康問題、人間関係
  • 2施設目以降では、妊娠・出産、育児が主なライフイベント
  • 転職は専門性を高めた後の動機と、ライフイベントによる働き方の変更が主な理由と予測される

詳しく知りたい方はPDF情報へ
厚生労働省 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07927.html

看護師が不足する都道府県

 都心部(たとえば関東では神奈川・千葉・埼玉・東京、関西では大阪・奈良・京都・兵庫・滋賀など)と東北地方で看護師不足の需給推計が出ています。一方で看護師数が需要を上回る当道府県も中国・九州地方で一部見られています。※3

求人が多い職場 TOP5 

地域のニーズが高まる中でも、病院の求人は依然多いまま。※1

1.訪問看護ステーション
2.病院(20~199床)
3.病院(200~499床)
4.介護老人福祉施設(特養)
5.ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム

多様な働きかた

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臨床看護師と看護教員の違い

仕事内容や働く場所の雰囲気は想像がつく

 臨床看護師の仕事や職場の雰囲気は、学生時代に実習で経験しているので想像しやすいです。教員・研究職は全くの未経験なので社会人として仕事をすると初めてのことばかりです。学生の時みていた教員の仕事ぶりは、ほんの一部。学生の長期休み中も教員はサラリーマンなので普通に働いてるし、平日の夜間講義や土日祝日出勤、家で持ち帰りの仕事をする人もたくさんいますよ~。


若くても高給な職場がある

 臨床護師は年齢が若くても給料が高い職場があります。教員・研究職は経験年数に応じたほぼ年功序列な給料体系が多いので、20代で高給取りというのは現実的ではありません。


休みやすい職場がある

 臨床看護師は職場の規模が大きい場合、比較的休みやすいです。なぜなら働く人数が多いため、病気や家庭の事情で休んでも交代要員がいるからです。しかし、クリニックや少人数の訪問看護ステーションなど規模の小さい職場は看護師数が少ないため、急に休むと交代要員がおらず周囲の負担が大きくなるので心理的にプレッシャーになりやすいです。
 一方、教員職は規模にもよりますが、たいてい働くチームは少人数構成です。例えば大学の基礎看護学の教員は5人、小児看護学の教員は3人など、働くユニットが小さいです。看護師は1病棟に20人くらいいても、教員・研究職は1つの働くチームが少人数なので、授業や実習などを休むことになると周囲の負担は大きくなります。
 しかし、どこで働いても「お互いさま文化」がある職場なら過剰な心配は不要なので、人間関係って大切ですね。
 

同じ組織内で異動できる

 臨床看護師は職場の規模が大きい場合、同じ組織内で異動できます。仕事内容や人間関係が合わないときに、退職ではなく異動という選択ができるのは大きなメリットです。同じ病院内で違う病棟に異動、同じ組織内で病院から訪問看護ステーションへ異動など、仕事内容や人間関係を変えることができます。また、同じ組織内の異動だと退職しないので勤続年数が積み上がり、退職金が減らなくて済みます。残念ながら、これは規模の小さな組織だと当てはまりません。
 一方、教員職は職場の規模にもよりますが、同じ職場内での異動は難しいです。教員は専門分野と職位別に配置人数が決まっているので、例えば精神看護は教授1名・准教授1名・助教1名と決まっていれば、自分の職位に欠員がない限り異動できません。そもそも、小児看護学から精神看護学へ異動など専門分野が違うところへの異動は学生に教育するのが難しいですよね。今は求人があるほうですから、違う学校で働くことは可能ですので、人間関係がどうしても合わなければ異動ではなく退職という選択もあります。でも仕事内容は教員職であればどこも大きく変わりませんので、仕事内容が合わない場合は違う仕事への転職を検討せざるをえません。留意点として、将来的には18歳人口減少に伴う教育現場の縮小は免れないので、大学統廃合などで職場環境が変化する可能性もあります。

国が考えている取り組み

育児支援に関する主な課題

  1. 育児休業制度の利用促進
  2. 育児休業後の復職支援
  3. 職場内保育施設の整備​​.

介護休業支援に関する主な課題

  1. 介護休業制度の普及と利用促進
  2. 介護休業後の職場復帰支援
  3. 介護と仕事の両立支援​​.

看護師の職業継続に関する主な課題

  1. 職場環境の改善: 人間関係や労働条件の改善
  2. 給与・待遇の向上: 給与や昇進制度の見直し
  3. キャリア支援: 継続教育やスキルアップの機会提供
  4. ワークライフバランス: 育児・介護支援制度の充実
  5. メンタルヘルスケア: ストレス管理や心理サポートの強化​​

参考資料
※1 厚生労働省「令和5年看護師等(看護職員)の確保をめぐる状況」
※2 厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
※3 厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会中間とりまとめ(概要)」

※4 平成30年度 厚生労働科学特別研究事業 「看護職員確保対策に向けた看護職及び医療機関等の実態調査」

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