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看護師勉強会のテーマ決定方法

看護師が病棟で看護師向けに行う勉強会のテーマ決定方法について紹介します。

目次

テーマの決め方

勉強会の目的を明確にする

 大前提として、勉強会の目的を確認しましょう。勉強会テーマは勉強会の目的にそったものにするべきです。

例1
スタッフの要望:病棟の社会的入院の数を減らしたい
目的:病棟の社会的入院の原因を知り、課題を共有する
テーマ:A病棟の社会的入院の原因と課題

例2
スタッフの要望:病棟の褥瘡発生率を減らしたい
目的:褥瘡予防の基礎知識を再確認する
テーマ:褥瘡予防のための体位変換とポジショニング

 目的はないけど勉強会をするように言われた…という複雑事情もあると思います。「なんでもいいから勉強会をする」という目的、謎の目的。そういうときは…、以下の中から好きな目的を設定しましょう!テーマ決定に役立つポイントを挙げてみます。

病棟の年間目標を意識する

病棟の年間目標に沿った勉強会にできると最高です。

例1
病棟の年間目標:退院支援を充実させる
勉強会テーマ:地域連携室との連携強化
内容:看護師ができる地域連携室へのコンサル項目3つを挙げて、どんな時に、どのタイミングで、どんな内容をコンサルすると退院支援がスムーズに進むのかを説明します。地域連携室の看護師が「もっと病棟看護師にこうしてほしいな~」と思っていることを聞いてみたり、ゲストスピーカーやコメンテイターとして招くこともできます。

例2
病棟の年間目標:術後の尿路感染症を前年度より20%減少させる
勉強会テーマ:尿道カテーテルとハルンバッグの取り扱いー最新研究結果からー
内容:病棟でできていないと思われる基本操作や観察項目を再度確認する。また感染対策室や認定看護師などから最新の看護情報を教えてもらったり、最新の研究結果を情報共有して病棟に取り入れられるか検討することもできます。

病棟看護師の悩みを解決する

  • 失敗事例を検討する
  • 難しかった看護の事例を検討する
  • なんか上手くいってない気がすることを可視化する

 失敗事例や困難事例はすでに病棟カンファレンスで取り上げられていることが多いです。しかし限られた時間のショートカンファレンスでは看護師たちで意見交換できても他の見解を入れて話し合えないことがあります。ですから、情報をチョイ足しして、さらに事例の看護に対する理解を深める目的で行います。

最新の看護研究論文ではどういわれているのか勉強会で提示して、新しい視点から病棟看護の課題を出すのもいいよね。

CNSやNPにコンサルして、「さらに専門家」の意見をもらうのもアリだよね。

違う職種はどう思っていたのかなど、多職種共同勉強会にするのもいいね。リハビリ病院はしょっちゅうやってるよ。

 なんか上手くいってない気がすることは、けっこうあります。でも本当にうまくいってないのか、何が原因なのか、いまいちわからないこともあります。そういう違和感を客観的に調べてみて現状報告と改善策を話し合うもの一つです。また病棟で違和感のあることをザックリと大きくテーマにして、バズセッションにするのもありです。ただ、バスセッションは思うがまま自由に意見だしするスタイルなので、メンバーのパワーバランスや看護レベルがある程度同じでないと有意義な勉強会(検討会)にならないので難易度は高いです。

病棟の看護の良かったところも考察してほしいわ。

 看護師は反省は得意ですが自分たちの看護を褒めるのが下手です。先日主任と話したときも、この話題になりました。病棟では沢山成果を出していることを一緒に確認したら、スタッフにもっとそれを伝えないといけないねと。

ここはできた!なんで上手くいったのかな?**だからだね。うちの病棟は**が得意なんだね、みんな有難う!

ここは上手くいかなった。なんでかな?**が原因だね。じゃあ、次は**を課題にしようか!

得意なところはもっと伸ばす、苦手なところは改善する、どちらも看護の質の向上につながりますので、勉強会でどちらの見解も提示できるといいですね。

病棟看護師の興味があることを発信する

  • アンケートをとってスタッフに何が知りたいか聞いてみる
  • 最近の話題を探して興味の高いテーマにする

 病棟勉強会の目的を自由に設定していいのであれば、みんなが関心のあることでもいいと思います。病棟のスタッフは今何に関心があるのでしょうか。日々の看護と全くかけ離れたことでも、看護師の自己研鑽として様々なテーマを取り上げるのは有益です。

大昔、病棟でアンケートしたら「結局ICUの口腔ケアは1日何回するのが良いのか、エビデンスはあるのか?」って沢山意見があがったので調べて報告して、病棟で現実的にできる方法と回数を検討してルーチンの看護を改善したよ

病棟で与薬が多い時に何から優先するべきか疑問が上がって、抗菌薬のPK/PDをドクターに勉強会してもらったな~(懐)

患者さんの意思決定支援のありかたや社会的入院を減らす取り組み、医療現場でのAIなど、医学会新聞で色々なテーマの記事があるからネタ探しにお勧め。日本看護科学会誌のオンラインジャーナルでも看護の最新論文が無料で読めるよ。

 新しい情報発信の勉強会では、発信で終わらずに新情報を踏まえて「明日から病棟では何ができるか」まで話題に出しましょう。情報共有だけであればSNSでも院内チャットでも他の方法があるからです。せっかく集まるので、集まる意味のある勉強会になるといいですね。

病棟で実施されている看護研究の経過報告会にする

 看護研究が担当者任せになることはよくあります。でもその研究は個人のために行われているのではなく、たいてい病棟看護の質を上げるために行われています。ですから、今スタッフがラダーで取り組んでいる看護研究がどうなっているのか、みんなで経過を聞いてアイディアを出し合うのも看護研究という勉強会になります。看護研究をしているスタッフの悩みを聞いて考える会です。研究がわからない人でも「それってどういう意味ですか?」と聞くことで、研究担当者は「そっか!スタッフにはそれがわかりにくいんだな!」という学びになるのです。私たちは人に教えることで成長しますので、これも立派な勉強会です。

AIに聞いてみる

ChatGPTなどのAIに勉強会テーマを考えてもらう方法もあります。しかし現時点で優秀だな!と思えるテーマはなく、知ってるけどな…という内容ばかりが出てきました。やはりWeb上にある情報だけがAIの頼み綱なので物足りないのは仕方ないですが、ネタ探しのとっかかりとして使い、これを見て自分で何かひらめくかもしれません。プロンプトをさらに詳しく書くといいですが、それを書けるくらいならすでに自分で勉強会テーマを決定できると思います。

ChatGPTは教科書レベルだったのでPerplexityに聞いた結果です。

プロンプト

  • あなたは消化器内科病棟の看護師です。病棟で看護師向けの勉強会をするので以下の点を踏まえてお勧めのテーマを提案してください。
  • 基礎編:消化器疾患看護のベースとなる看護のうちインシデント事例が多いものをテーマとして提案する
  • 最新編:最近の消化器疾患の治療トレンドをふまえて、必要な看護の知識と技術をテーマとして提案する
  • 情報の出典もとを示す

AIの回答

消化器内科病棟の看護師向け勉強会のテーマとして、以下の2つを提案します。

  1. 基礎編:
    テーマ: 「薬剤投与ミスの防止 – 消化器系薬剤の安全な取り扱い」

このテーマを選んだ理由:
消化器内科では様々な薬剤を使用しますが、厚生労働省の重要事例集計結果によると、薬剤に関連するインシデントが多く報告されています。例えば、「メルカゾールを間違えてプロパジールを処方し、投薬前に病棟の看護師が気づき、交換した」という事例が報告されています。このような薬剤投与ミスを防ぐための知識と技術は、消化器疾患看護のベースとなる重要な要素です。

  1. 最新編:
    テーマ: 「消化器がん患者の緩和ケア – 最新の症状マネジメントと看護アプローチ」

このテーマを選んだ理由:
消化器がんの治療は日々進歩していますが、同時に緩和ケアの重要性も高まっています。ナース専科の記事によると、消化器症状への緩和ケアでは、腹部膨満感、イレウス、便秘などの症状マネジメントが重要とされています。最新の治療トレンドを踏まえた緩和ケアの知識と技術は、消化器疾患看護において非常に重要です。これらのテーマは、基礎的な安全管理から最新の治療に対応した看護まで幅広くカバーしており、消化器内科病棟の看護師にとって有益な内容となるでしょう。

情報の出典:
 厚生労働省. 重要事例情報集計結果.
 ナース専科. 事例2:消化器症状への緩和ケア.

消化器外科の最新治療を踏まえた看護師向け勉強会のテーマとして、以下を提案します
テーマ:「内視鏡治療の進歩と看護ケア – RDI技術を中心に」
このテーマを選んだ理由:

  1. 最新の治療トレンド:
    オリンパス医療ウェブサイトの情報によると、EVIS X1に搭載されたRDI(Red Dichromatic Imaging)技術が注目されています。この技術は内視鏡治療における出血点の視認性向上だけでなく、内視鏡診断にも活用されつつあります。
  2. 看護ケアへの応用:
    RDI技術の導入により、内視鏡治療や診断の精度が向上することが予想されます。これに伴い、看護師には新しい観察ポイントや患者ケアの知識が求められるでしょう。
  3. 多職種連携の重要性:
    消化器症状への緩和ケアの事例でも示されているように、主治医や薬剤師など多職種と協働してアセスメントし、治療を進めることが重要です。RDI技術を活用した治療においても、多職種連携の視点は欠かせません。

このテーマでは、RDI技術の基本的な理解から、それを活用した治療・診断の流れ、そして看護師に求められる新たな観察ポイントやケアの方法まで幅広く学ぶことができます。最新の治療トレンドを踏まえつつ、実践的な看護ケアの知識と技術を習得できる内容となるでしょう。

情報の出典:
 ナース専科. 事例2:消化器症状への緩和ケア
 オリンパス医療ウェブサイト. 学会・イベント

勉強会スライドの作り方

まず最初に、スライドをつくらないでいい方法はないかと考えましょう。笑 

CNSをゲストスピーカーに招く

 CNSは「教育」が役割なので、院内にCNSがいるのであれば積極的にコンサルをかけて勉強会をしてもらいましょう。特に病棟の特徴に特化した事例検討や現在のトレンド情報などを盛り込んだ勉強会になると、スタッフは明日からすぐ看護に活かせるので助かります。勉強会で話す人は主催者である必要はなく、勉強会の目的を叶えられる人にお願いするのも一つの案です。

自分がスピーカーの時

 看護師勉強会のために徹夜でスライド作成するのは、看護師の本業ではありません。それは通常、スライド作りを専門とするデザイナーやコンサルタント業の得意技です。私見ですが、看護師はスライド作成時間をもっと時短するために、スライドをできるだけ作らないほうへシフトしましょう。そのコツは

  • スライドを必要最低限の枚数にして話す量を増やす(プレゼンの練習は必須)
  • 皆が知っている常識情報のスライドは不要
  • スライドは構成(話の流れ)が命
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