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看護師の会議の進め方

看護師・看護教員の会議の進め方についてご紹介します。

目次

看護師の会議の悪習慣

 看護師はビジネスパーソンの集団ではないので会議の上手な進め方について慣れていません。私はOL出身なので、看護師に転職したときに病棟会という会議に初めて参加したとき目を疑いました。

  • 病棟会の目的が不明瞭
  • 病棟会が1時間もしくは1時間半もある
  • 病棟会が毎月ある
  • 病棟会で誰も発言しない
  • 病棟会でお菓子がふるまわれる

15年後、大学教員になった時も大学の看護学部の会議で驚きました。

  • 会議の目的が不明瞭
  • 報告事項と検討事項が混在して会議が進む
  • 会議が1時間以上続く(終了時間設定がない)
  • 会議が毎月ある
  • 会議で誰も発言しない
  • 会議の全容を理解していない若手教員や若手事務員が議事録を書く

 他業種、特に利益を出すことを強いられる業種の人にとっては、この会議は時間の無駄遣い要素が多いため驚きでしかありません。でも誰も会議の方法について知らないのですから仕方ないのも事実です。症例カンファレンスなど医療に特化した会議の仕方ももちろんありますが、通常の会議や委員会などはビジネス業界の知恵を転用するのも時間の節約になるかと思います。

一般的な会議の形式

  • 会議の目的(ゴール)を設定する
  • 会議の終了時間を設定する
  • 会議で報告は不要(事前に周知し全員が予習してくる)
  • 会議の議事録は全容を知る人が作成する(周知が速く議事録作成者の負担も軽減される)

 今は若手の看護師や教員の中には会議時間が無駄であると判断し、会議中にPCで他の仕事をする人もいるくらいです。病院や大学の組織運営の質を高めるために、管理職だけでなく働く人全員が会議の進め方について知っておくことは有意義だと思います。

会議の進め方のコツ

会議の目的を設定する

 会議は目的を明確にし、今日の会議が終了したときに何が決まっているべきなのか、全員が何を理解しているべきなのかなど具体的なゴールを設定し、そのゴールに向かって全員が会議に参加します。前方のホワイトボードやスライドにそれを映す会社もあるそうです。1つの会議ですがいわば看護計画と同じ構造になっておるということです。会議目的は、参加者が静かに座っている事ではないはずです。参加者が意見交換したり、採決をとるほうが集まる意味が高まります。


会議の終了時間を設定する

 会議時間の設定は内容によりますが、今では1時間の会議は長いともいわれています。私見ですが教育業界では議題によって1時間必要な時もある印象です。いずれにしても終了時間を設定し、その時間を意識して会議を進めるのは、全員のトレーニングも兼ねて有益なことと感じます。

会議終了時間の設定により訓練される能力

  • 参加者は会議目的からそれないように意見する能力が付く
  • 参加者は短時間でわかりやすく意見する能力がつく
  • 議長はテーマからずれないよう注意喚起する能力が付く
  • 議長は決定事項と次回への持ち越し事項およびその担当者をスピーディーに判断する能力がつく

 私は大学教員の時、上手な議長のもとで会議に出られたことは財産になりました。そしてそのような議長は必ず会議の何倍もの予習をしてこられていました(議長の手元資料をガン見してたからわかるのです笑)。昔Google社が立ったまま会議していたのは有名な話です。仕事の時間には給料が支払われておりパフォーマンスを求められるので、ただの話し合いにだらだら時間を割くことがないように、意味のある会議にする工夫ができると良いですね。

会議の頻度を決める

 褥瘡対策委員会や実習委員会など会議はたくさんありますが、毎月する必要があるでしょうか。臨床にいたころ師長が毎月あった病棟会を3か月に1回にし、その翌年は半年に1回にしたことがありました。何も不具合はありませんでした。その代わり、各ワーキンググループは年間目標と活動計画を立案し会議で進捗状況を報告するため、自分たちの裁量で時間を使いながら確実に目標達成への行動を進めるようになりました。会議の目的によっては、会議の頻度を適切に見直すことで逆に成果を上げることができるかもしれません。


会議の参加者を厳選する

 会議での審議事項に決定権を持たない人は会議に参加すべきではありません。会議に無言でただ座っておるのであれば、自分の病棟看護や大学の教育業務をするほうがはるかに給料に見合うパフォーマンスをしているからです。会議の主催者は、会議の目的を明確にすることで参加すべき人を厳選できるでしょう。

議事次第を作る

基本事項:日時(終了予定時刻も明記する)、場所、参加者、議題(ゴール設定も明記すると最高です)
報告事項:事前に別の方法で告知するのが良いです。(議事次第に各担当者が議事録として記入しておく方法もあります)
審議事項:前回からの持ち越しの審議事項と、今回の新しい審議事項の区別ができるように明記

報告事項の取り扱い

  • 報告事項はメールや社内SNSで事前周知し、全員が予習して会議に参加する
  • 会議では報告はせず報告事項への質疑応答を行う
  • 質疑応答で必ず「決定事項」もしくは「次回審議事項」を明確にする

 上層部での決定事項報告だけであれば、会議ではなく社内SNSやメールで周知するほうが時間の節約になります。上層部ですでに決定されたことをひたすら報告されても、参加者に何かの決定権があるわけでもなく意見を言うだけ無駄なので、うわの空で聞いている人が増え、報告者もさみしい気持ちになり、冷たい空気が流れ続ける会議になってしまいます。

 逆に問題となるのは、会議で言わないと周知できないという職場風土です。長いあいだ会議で報告文化がある職場は、会議スタイルを変更する際にスタッフへの周知が第1ステップになります。10年以上前に病棟でこれらを実施しましたが、さすが看護師は真面目な人が多いので、一瞬で周知できました。

  • 報告事項は口頭説明されないため必ず自分の責任で確認する
  • 確認忘れによるミスは自己責任であることをスタッフ全員が理解しておく
  • 報告事項は、内容と報告・周知日時を明確に記す

審議(検討)事項の取り扱い

  • 参加者は審議事項と会議目的からそれないように意見する
  • 質問には正確に回答し、その場で回答できない場合どうするかを返答する
  • 審議での「決定事項」と「次回審議事項」を明確にする

自分たちの文化も大切にする

 日本は国民皆保険制度なので医療界に属する看護師は100%患者から利益を得るための仕事をしているわけではありません。ですから欧米型、特に米国型の会議スタイルを無理に当てはめなくても良いのではないかと思う時もあります。
 日本の医療者の労働対価は低いほうです。医療者の献身的な精神に支えられている部分は大きく、会議をどうしても時間外に設定しなければいけないこともありますので、参加者をねぎらう気持ちが生じるのは自然なことです。
 例えば、OL出身の私はお菓子やジュースを出して気軽な雰囲気で病棟会をすると必ず無駄話が生じて脱線するので嫌ですが、この文化はきっと時間外の参加者や日々の献身的な働きをねぎらう気持ちから始まったのだと容易に想像できました。また、この無駄話こそ職位を超えて全スタッフが本音を言えるいい機会であり、病棟の本当の課題が見えることもあります。そのためにお菓子とジュースが一役買うこともあります。


 また日本人は公の場で自分の意見を言うことが苦手な傾向が強く、トレーニングもされていないため、参加者全員がアサーティブな意見交換に長けていません。ですから突如欧米型の会議スタイルに突入すると意図せず傷つく人がいるのも現実です。大学の会議で教授が端的に論理的な切り口で広報活動について意見を出したとき、私はとても妥当な意見だと思ったし非常に勉強になりました。でもその時議長は「先生、これは若い先生方が何か月もかけて作り上げてくださったものなんです」と添えられたとき、教授の先生は「そうだったのですね。知らなかったとはいえ、ごめんなさいね。」と発言されました。結果は変わりませんでしたが、参加者全員が救われたわけです。
 私たち日本人は和を重んじたり文脈を読むのが得意な民族です。日本語の会話にいちいち主語がないのはその現われだと言われています。ですから自分たちの文化も大切にしながら、時間も大事に会議スタイルを決定するのも素敵なことかもしれません。

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