看護師に疲れた時に読むと癒される、看護師を目指す若者たちの話をご紹介します。私も若者だったのに、あっという間に高校生・大学生の親になる世代です。ネットには「看護師、辛い、キツイ」の文字がずらりと並び、疲れた上にそれを見るともっと疲れるのですが、時々高校生や大学生に癒されますのでおすそわけします。
故郷の僻地に戻ってくる子どもたち
日本には限界集落や離島など医療の手が届きにくい場所が結構あります。そういうところに派遣で応援ナースとして行く看護師もいますし(結の島ナース)、救急でドクターヘリに乗って医療を届ける看護師もいます。それでも医療者は不足しています。
離島の病院で朝礼に出たときに、看護部長が研修に来ていた看護師や理学療法士ひとりひとりに声をかけていました。聞けば、全員、島の出身者だったのです。自分の出身地の離島には大学や専門学校がないので、みんな島を出て進学するか家業を手伝う事が多いです。本州で学んで看護師や理学療法士の資格をとり、一通りのスキルを身に着けた後、研修生として病院に来て、その研修を終えたら病院に就職する予定だった様子です。「**さん、お父さん元気だね~、こないだ会ったよ!」とか、「みんなお帰り、待ってたよ」とか、病院の朝礼で聞く会話とは思えないなんとも心温まるひと時でした。
僻地は専門家が不足しているので、地域で育てた大切な子どもたちが大きくなって故郷に帰ってきてくれるのを心待ちにしているのです。そして故郷の状況を知っている若者たちは、いつか、いいタイミングで、故郷に帰ってプロとして地域の医療を支えてくれるんですね。帰らないといけない決まりなんてありません、でも自分の医療スキルが島でどれほど必要とされているのかを知っているのです。そしていつか帰ろうと思っているのでしょう。日々の激務に揉まれすぎて医療者としての使命を時に忘れがちですが、その人の人生によっては、看護師という職業が生きることそのものになっていることがあるのだと改めて感じた瞬間でした。
私たちの後ろに続く若者たち
一方、都会では高校生たちが看護師になるかどうか考え中です。先日同窓会があり、ちょうど夏休み前の今頃が三者面談や進路相談会の時期だと話題でした。友人のお子さんも看護師を目指すと聞いたので、私は何気なく友人にLINEしました。「私は(OLから)看護師になってよかったよ。お金で命が買える時代になったけど、臨床で看護師をしているとお金で人の気持ちや愛情は買えないこと、そういう無償無形のものが病気や障害から人を救うこともあることを患者さんから沢山教えてもらって、OLでは経験できなかった人生だから、豊かで悔いのない人生になった」と。
その後、友人から連絡が来ました。子どもさんが先生との進路面談で理系の受験がかなり難しいことを聞かされて、看護師をあきらめるか悩んだそうです。でも私のメッセージを何度も読んで、「やっぱり看護師になる夢はあきらめない」と言って進路希望を出したそうです。感動して涙が出ましたね。気楽に書いたLINEの文章が高校生の進路に影響して恐縮ですが、わたしたちの後ろには、まだまだ続いてくれる若者がいるのだと思うと、本当に嬉しかったし背筋が伸びました。(そのあと涙を拭いて、コーラー&ポテチを中止して、日本看護協会のキラリ!看護のシゴトっていうサイトも紹介しときましたよっ!)
看護師は毎日「しんどい、辛い」と言いながらも、インタビューすると夜が明けるほどに看護師の仕事の魅力を語ってくれます。日々、命を救うこと、生きることを支えること、逝く命を送り出すこと、人間であることすべてと向き合っているのですから魅力的な仕事であることは当然なのですが、この仕事の良さをゆっくり味わう間もなく時間を過ごしています。もっと自分に合う職場、もっと自分らしい働き方をみつけて、看護師である自分を誇らしく思えるように、看護師を続けていくための支援を少しずつ諦めずに続けていきたいなと、初心にかえり癒された経験でした。