看護師勉強会をAIのイルシルを使って時短作成する方法を具体的に説明します。記事内容のレベルはパワーポイントのアウトラインやスライドマスター、スマートアートを使える中級者向けです。しかし私はその3つを使いこなせてないPC初心者ですが、イルシルを使ってスライド作成時間を半分に時短できましたので、忙しい人ほど是非チャレンジしてみてください!
スライド作成AI Irusiruの使い方
Irusiruをお勧めする理由
スライド作成AIは色々ありますが、PCが本業でない看護師にとっては以下の条件を満たすイルシルは使いやすいと思います。教員でもPowerPointで図解が多い方にとってはデザインを丸投げできるので便利です。
- 操作が直感的で簡単
- 日本語対応
- デザインが医療系に転用しやすい
- PowerPoint出力は有料なので実用するには税込み約1800円/月かかるが、デザインをストックできるうえに1ヶ月でも解約できるのでコスパ最強
Irusiruの操作方法
メールアドレスを使って無料アカウントを作りましょう。一時的に有料にした時も無料に戻した時も同じアカウントであればデータはずっと保存できるので便利です。
最初に「AIスライド作成」か「スライド新規作成」か聞かれますので、「AIスライド作成」を選択。
次にメモの文章(つまり講義の内容)を入力する画面になります。
時短のコツ
- 手入力しない
- すでに手元にあるテキストデータ(Wordやメモなどの文章データ)をコピペする
次のうち、どれでも便利です。今回はオムニバスで依頼された基礎看護の講義スライドを作ると仮定して、教科書の目次をそのまま入力してみました。
構成を迷っているとき
- chatGPTやPerplexityなど文章生成に強いAIにだいたいの構成を提案してもらい、その文章をコピペする
- IrusiruでもSTEP3で構成をAI生成できるが、文章生成AIを使うほうが高品質であるため結果的に時短
- 講義内容が近い教科書があれば目次をとりあえず入れる(目次はAmazonや医学書院などのhpで確認できます)
最初はタイトルだけ生成されて講義の流れを調整する画面になります。前画面でメモに詳しい内容を入力してもこの大きなアウトラインには反映されませんが焦る必要はありません、あとで出てきます。
右上のテキストを生成ボタンを押すと内容を作ってくれます。最初に目次だけ入力しましたが、あの時にもっと詳しい内容を入力しているなら、その内容は次のスライドのテキスト画面に自動的に反映されます。今回のようにシンプルに目次だけ入力していても、AIが内容を考えて作ってくれます。
ピンクや青のBOXの位置関係はスライドデザインにより違います。青BOX(メッセージ)をサブタイトルにし、緑BOX(ヘッダー)を小見出しに使うほうが使い勝手は良かったです。完成するとこのような関係になります。
レイアウトや内容はあとで修正できるので今回は触らず、次に進みます。
よくみると「目次」のスライドがおかしかったので、修正しました。
内容によりますが、スライド15枚30秒、40枚でも1分ほどで作ってくれます。
この作業を繰り返して、最終的に右上の「共有」をクリックし、「MicrosoftPowerPointドキュメント」を選択するとパワポデータとして保存できます。このpptへの変換機能は有料です。
Irusilの豊富なデザイン
- 日本人好みのスッキリ系
- ビジネス用デザインが多いため、看護に転用するときはデフォルトデザインを上手く工夫して使う
例えば左の「タグ一覧」で「フロー」というところを開くと、時系列を図解する良いデザインが出てきます。
「その他」にするとグラフや比較図なども出てきますので、自分の領域でよく使う図解をストックするのがお勧めです。例えばマズローの5段階欲求なら「ピラミッド」を選択すると綺麗になります。
文字のフォントやフォントサイズ、デザインや色も自由に選択できます。下のスライドはモノクロを選択した場合です。スライドタイトルは左上の黒リボン内に小さく表示されるデザインです。よく授業で使うタイトルを大きく表示するデザインも選べますし作ることも可能です。
さらに詳しい使い方はIrusiruのhpやサイト内のYouTubeで確認してください。
Irusiruのメリット/デメリット
メリット
- 図解の多い講義では、図やイラスト作成は丸投げ可能
- パワポのスマートアートを使うよりイラスト作成が速い
- 配色を考えなくても視認性の良いものが組まれている
- PC初心者でも半日あればある程度使いこなせる
- 講義構成を変更し上手に使えば、スライド作成時間が半分以下になる
- 有料版1ヶ月だけ契約し、よく使うイラストをDLでストックするだけでもコスパ良し
デメリット
構成面
- pptやWordファイルを直接読み込みできない
- 学生向け教育用スライドは質保証的に追加修正が必須
デザイン面
- 図解に強いので、看護のアセスメントで「文章が多い」講義スライドは恩恵が少ない
- フォントがPowerPointに対応していないものが多くppt出力すると時折文字化けするためメイリオが確実で無難
- フォントが基本的に小さいので講義環境を選ぶ
- ppt出力したときにアウトラインとスライドマスターは「白紙」なので一括修正ができない
お勧めな使い方
- 図解だけに期待してイルシルで初版をつくる
- 初版をppt出力しアウトラインとスライドマスター設定して文章が多いスライドだけ従来通り追加作成する
- 前回スライドの図解付きブラッシュアップに使うのはお勧め(pptアウトラインをWord出力してイルシルにコピペする)
- 大学説明会・学生や新人オリエンテーション・委員会報告スライドなど事務的な内容が多いスライドは一発作成でお勧め
- デザインにこだわりすぎると逆に時間をとるので即決する
他のお勧めスライド作成AI
Microsoft Copilot
- ExcelやWordファイルなどを直接参照してくれるのでコピペの手間なしでスライドを作成できる
- 複数のAIを使わなくてもcopilotだけでスライド作成が完結するのでデータ管理がシンプル
- 値段が高い(大学が契約している場合があるので教員は調べましょう)
- 2024年6月にCopilot搭載のPCが発売されたので、このPCならオフラインでAI技術が使える
Gamma
- デザインが外国風でカッコいい
- 英語対応のためある程度英語がわからないと使いづらい
その他のAI
現在canvaもスライド作成できますが自動作成するとデザインがズレておかしくなるので不向きですし、他も使いものにならないアプリが多いのが現状です。今後スライド作成AIは進化が速いと思われるので、教員や看護管理職の方は時間をみつけてお試しし自分に必要な機能を明確にしておくと、新しいAIが出たときに選択に迷わず便利です。
時短になるスライド作成AIの条件
発展途上ではありますが以下の2点が搭載されておれば間違いなしです
- プロンプトに既存データ(ppt・Word・PDFなど)をファイルごと添付できる
- ppt変換したときにアウトラインとスライドマスターに反映される
場面に合わせた使い分け
スライド作成時短になる場面
- 看護師病棟勉強会(身内対象)
- 院内・病棟内の各種オリエンテーション
- 院内・病棟内の各種報告会
- いずれも1時間が限界
1時間を超える場合、きっと内容はかなり濃いものだと思います。そのくらい専門性が高い内容だと、構成をAIで練ることは時短になりますが、スライドをAIで作るのはお勧めしません。現時点で、スライド生成AIはある程度決まった型のスライドを量産することは可能ですが1枚1枚内容が深いものは作れないので、結局手直しする時間が増えてしまいます。ですから上記のような場面には活用できますが、長時間の勉強会や講義にはお勧めしません。
教育機関での講義場面
学生用の講義には構成を考えるAIは活用できますが、スライド生成AIはお勧めしません。学生向けの講義は90分でボリュームが多く図解できるスライドも少ないので、スライド生成AIの恩恵が少ないです。また初学者用に言葉の定義を説明するため文章が多くなったり、目で見てわかりやすい解剖生理のような専門的なイラストが沢山必要になるので、スライド生成AIが対応できません。看護学生用の講義に限っては、AIが簡単に自動生成できるレベルに達していない印象です。4講義試してみましたが自動生成できても修正部分が多く逆に手間がかかるので、PowerPointを使いこなす方が時短でした。またスライド生成AIは図解に強いのでアセスメントが必要な講義には使いづらいです。しかしプロンプトに何を入れるかにより完成度は大きく違いますので、使い手の能力次第で仕事効率化に大きな差がでることは言わずと知れた実感です。今から使いこなしておくと将来役立つと思われます。
看護は「アセスメント」が重要なので、Web上にない我々独自の思考パターンや意見、経験、症例などはAIは自動生成できません。そのため教育目的のスライドは必ず講師が追加修正することになります。それは看護師の専門性が高い証でもあるので、喜んで作成してあげてください(笑)。 皆様の仕事がもっとスリム化されて寝れますように。